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熊倉 稔; 嘉悦 勲
Makromol.Chem., 184, p.1831 - 1836, 1983/00
二官能性モノマーの低温放射線重合によってセルラーゼの固定化の研究を行った。モノマーとしてポリエチレンからコールジアクリレートについて分子構造と放射線重合によってえられた担体の多孔構造とについて調べ、ついで多孔構造と酵素活性との関係について調べた。担体の多孔構造はモノマー濃度および照射温度によって著しく変化した。多孔構造は照射温度が-10~-40Cにおいて不連続的な変化を示し、それは系の組成および重合機構に依存することがわかった。固定化酵素の活性は孔径および担体の親水性によって変化するが、担体の形状にも影響をうけることが明らかになった。担体の親水性はモノマーのオキシエチレン単位の数によって変化することがわかった。
嘉悦 勲
Radiation Physics and Chemistry, 18(1-2), p.343 - 356, 1981/00
放射線とライフサイエンスとは、これまで育種・殺菌不妊化・放射線療法などを通じてつながってきた。一方高分子化学と放射線化学とは専ら工業材料の開発を通じて結びついてきた。近年高分子化学と医・薬・農学分野とは、医用高分子や固定化酵素を通じて深くかかわり、境界領域を形成するようになった。ここに放射線化学が高分子を介してライフサイエンスの分野に通じる新しいパスが生じた。ライフサイエンス用高分子材料の開発に対し、放射線という手段は貴重な多くの利点を有している。生物活性高分子複合材料-生物活性成分の高分子による低温加工という新分野で我々のグループはそのことを数多くの実例で実証してきた。この講演では、この新分野を開拓してきた我々の基本的な方法論とその医・薬・農各分野における具体的応用例・実践例を紹介し、この分野の夢多い未来を展望したい。
吉田 勝; 熊倉 稔; 嘉悦 勲
JAERI-M 6190, 13 Pages, 1975/07
単量体として、主としてHEMAを用い低温放射線重合により-amylaseを固定化する研究を酵素量50~200mgの高濃度領域において検討した。酵素高濃度の場合の特徴は重合前の混合液の相分離が起りやすいことであり、50%HEMA濃度以上において著るしい相分離が起る。しかしながら、これを振盪によりサスペンジョン化して急冷凝固(-196C)させ照射重合を行うことにより有効に固定化できることが判明した。0C以下の温度ではこのような方法での固定化が可能であり、0C以上になると相分離がおこるため酵素を固定化することができない。HEMAの重合性は0Cを境にして変化し、0C以下では重合速度が増加し、-24Cで最大となることが認められた。これは、0C以下で水の結晶化が起り相状態が変化するためと考えられる。